生命体は、置かれた環境によって遺伝子のスイッチやボリュームを制御しているそうで 寒ければ寒さに対処する遺伝子のボリュームを上げ、熱ければ別の遺伝子を発現させて 身体を冷やそうとするのだそう。
その「寒さスイッチ」に切り替えた東北地方への旅も終盤を迎え
宮城県仙台市から東京羽田までの復路にて栃木県日光市へ立ち寄りました。
1617年に創建された徳川家康を神格化として祀られた日光東照宮です。
午前中の早い時間にも関わらず参拝者の多さに驚愕するも
澄み切った空気に凜と心が研ぎ澄まされます。
日光東照宮の建物には様々な動物の木彫像の装飾が施されており、それぞれの多様性に 見る人の心を奪われますが、もっとも有名であろう木彫像があるのは
この神厩舎。
長押上にある猿の彫刻を施した8枚の浮彫画は、子供を悪事から避けるべきことを教える 「見ざる言わざる聞かざる」の三猿をはじめ、猿の一生をもって人間の生涯を風刺したもの。
@言わざるを表現するの巻
いよいよ絢爛豪華な「陽明門」へ。
入母屋造の銅瓦葺きで上層部が三手先、腰部は四手先の組物は全て黄金に輝いています。
陽が差すと「キラッ」とヒカるその姿。
おびただしい数の極彩色の木彫彫刻。
そもそも、この日光東照宮は富士をご神体とした鬼門に位置するこの栃木県日光市に建立し、 魔除けを意味する地紋彫は「全て完璧に完成させるといずれ崩壊する」という 伝えがあるため一部崩している部分(上下逆さ)があったり。
まー、なんにせよ時間があればそこにずっと見入っていたくなるような絢爛である。
@鬼門は北東。裏鬼門は南西。そもそも日本は儒教の文化なので2020年の
今もなお根付く風水文化である。 良い悪いは別として。。。
続いて「拝殿」。
折り上げ格天井や煌びやかな装飾など、残念ながら撮影は禁止。
代わりに「眠り猫」
陽明門をくぐり、拝殿を正面に見て右へ行くとその先にあるのは
徳川家康が眠る墓の前にある欄間に木彫り彫刻されたこの眠り猫。
家康公を護るために寝ているように見せかけ「いつでも飛び掛かるぞ!」と
前足だけは実は踏ん張っている姿勢となっています。 @意外とちっちゃい
最後に陽明門の天井に描かれた「龍」。
浅草の雷門の大提灯も同じですが、龍は水神として火災から護るとされています。
首都高の渋滞に遭遇し、なんとかフライトに間に合った夜の帳が下りた江戸上空。
幻想的な照明に、走馬燈のように蘇る建築と自然の美。歴史とロマンに回顧しながら 今年の建築運はさてどうだろうと楽しみな一年のはじまり。
@T.Imamura